映画「Hedwig And The Angry Inch ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は、共産主義体制下の東ドイツで生まれ、性転換したロック・シンガーのヘドウィグが、幼い頃に母から聴かされたプラトンの「愛の起源」のような自分の片割れである愛を探して、全米各地を巡る物語。彼女の人生が魂の歌と共に描かれています。
主演のヘドウィッグを務め、この映画の監督・脚本家でもある俳優の「John Cameron Mitchell ジョン・キャメロン・ミッチェル」と、作詞・作曲を手掛け、ギタリストとして出演もしているミュージシャンの「Stephen Trask スティーヴン・トラスク」は、なんと飛行機の中で偶然隣同士になり、お互いのことは何もわからないのに、話したら意気投合して、一緒に仕事をしようよ!ってことになり、この「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」が生まれたそう。ジョンが話した取り留めのないおしゃべりが、スティーヴンには面白い!って直感があって、何かやりたいなって思った感じ。作品が生まれるための運命的な出会いですね。
「Hedwig And The Angry Inch ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は、ニューヨークのナイトクラブで、ヘドウィグとして歌ったことから始まり、ホテルの中にある小さな劇場を専用の劇場にして上演していきました。どんどん有名になり、各地のオフ・ブロードウェイで上演され、映画化されました。日本では日本人キャストでミュージカル上演されています。
The Origin Of Love 愛の起源
劇中で歌われている「The Origin Of Love 愛の起源」は、ジョンがプラトンの「饗宴」をスティーヴンに渡し「表現したい内容がこの本にある」と伝え、スティーヴンが作り上げたそうです。プラトンの著作「饗宴」で、エロスに関するアリストパネスの主張が、本作のストーリーの中核を担っています。愛の神エロースを讚美する即席演説で、男女両性者 Androgynous アンドロジナス(アンドロギュノス、アンドロギュヌス)について言及していて、異性愛や同性愛などが何故人々の中に存在するのか、その由来となる話を語る中で触れています。
THE OIGIN OF LOVE(愛の起源)の歌詞は、下記のページに書いています。
「The Origin Of Love 愛の起源」の中で流れる、印象的なアニメーションのイラストも、なんとジョン自らがイラストを描いたのだとか。ジョンの才能って半端ない。ヘドウィッグが小さい頃に描いていてそうな絵柄で、おとぎ話のような、絵本のような感じでありながら、パンクっぽい。そんなジョンのイラストを手書きのアニメーションで表現しているそうです。素晴らしい作品が生まれる時って、奇跡みたいな出会いと信じられない行動力、それを支えて応援する人たちで現実化されていると感じます。
ヘドウィグが最後、ウィッグと服を脱ぎ捨て、裸のまま歩き出したシーンは、人それぞれに様々な解釈があると思いますが「ありのままの私でいること」の象徴なのではないかと感じました。現実は自分が作り出した鏡です。自分を鏡に映したのが他人です。偽りの自分には偽りの相手しか映りません。何も偽らない自分を愛する、受け入れ難い自分を受け入れていく。そうしていくことでそんな私を「あなたじゃなきゃダメだ」と愛してくれる人が現実に映し出される。その愛する人こそが真実の愛であり、私の片割れなんだと悟り、絶望からまた歩き出したのではないでしょうか。
私たちは、地球に生まれる前まで、全てを共に体験していた、男性と女性の両方の本質を持つひとつの存在でしたが、二元性、二極性の世界を経験するために、ひとつだった私たちの魂は二つに分かれました。両性であるはずの私たちが、魂の片割れと統合して再び一つになるためには、内なる男性性と女性性のバランスを取りながら、クリアしなければならない過程があり、完全なる魂そのものとしての統合を求め、私たちの多くは、ヘドウィッグのようにたったひとつの完全なる魂の片割れと再び繋がるために、長く遠い旅を繰り返しています。
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Eva et Lilit エヴァエリリトのスピリチュアルカウンセラー・ホリスティックセラピスト。スピリチュアル カウンセリング、オラクルカードやヌメロロジーリーディング、エンジェルヒーリング、アロマテラピー、ヒーリングアート、デザイン、ウェブ全般。得意なことは浄化。宇宙や不思議な話、怪談が大好き。最近は日本の神様や古事記、仏様や法華経に興味があり、写経や仏画にハマってます。
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